リン酸の必要性
リン酸は生命現象に関連の深い元素のひとつであり、植物体のあらゆる部分に存在します。
とくに生育や活動のさかんな芽や根の先端に多く含まれます。
リンは植物体のいろんな化合物に含まれていて、
植物体内で行われているエネルギー代謝作用の重要な役割を担っています。
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リン酸は植物体内で重要な役割をしているのですが
土壌中ではリン酸が鉄やアルミニウムと結合して溶けにくい化合物をつくり
野菜に吸収されにくい形態で存在するという問題もあります。
とくに日本で多い火山灰土ではリン酸の固定力が大きいため、
リン酸の利用効率はきわめて低い状況です。
農業の現場ではリン酸は作物吸収量よりも多めに施用され、施肥方法も工夫されています。
リン酸肥料の種類
日本にはリン鉱資源がなく、リン鉱石はすべて輸入しています。
リン鉱石の中のリン酸はフッ素アパタイトで、
溶けにくい性質でそのままでは植物に吸収されにくいため、
肥料としては溶けやすく、吸収しやすい形態に変える必要があります。
一つは酸を使って分解する方法で、代表的な肥料が過リン酸石灰です。
またリン鉱石を硫酸で分解して作ったリン酸液に
アンモニアを反応させて作られたリン酸アンモニウムは
高度化成肥料の原料として多くつかわれています。
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もうひとつの方法は熱を加え、フッ素を除去または反応しない形に変え
アパタイトの安定した構造を破壊する方法です。
この方法で作られる肥料としては熔成リン肥と焼成リン肥があります
これらの肥料はアルカリ性肥料であり、また水溶性成分を持たないため
酸性の火山灰土に適した肥料です
土壌中には鉱物に由来したリン酸があります
主なものはリン灰石とフッ素リン灰石です。
日本の土壌中のリン酸は0.05%-0.1%程度です。
肥料として施用されたリン酸は、一部が野菜に吸収されますが、
大部分は土壌中でカルシウム、鉄、アルミニウムと結合して、
溶けにくいリン酸カルシウム、リン酸鉄、リン酸アルミニウムになります。
そのほかに有機体リン酸があり、その形態はイノシトールリン酸、
ヌクレオチドリン酸、リン脂質などがあります。
これらのリン酸は土壌中でゆっくりと分解し植物に利用されます。
土壌酸度が中性ですとリン酸はカルシウムと結合することが多くなります。
また土壌pHが6以下になると、リン酸は鉄やアルミニウムと結合します。
リン酸カルシウムは有機酸と反応して水溶性になり野菜に吸収されますが
リン酸鉄やリン酸アルミニウムは水に溶けにくく、
とくにpH4以下では野菜に利用されにくくなります。
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