カリの必要性
野菜は多量のカリを吸収しますが、カリの生理作用や役割については
窒素やリン酸ほどは明らかになっていません。
これはカリウムの大部分が植物体内でイオンの形で
細胞の中に溶けていることに関係しています。
最近の研究によると、カリウムは細胞液の浸透圧を維持し、
pHの調節、酵素作用の調節などをおこうなうことが知られています。
野菜をカリ肥料不足の状態で育てるとたんぱく質代謝の乱れ、
でんぷんの合成能力の低下、酵素活性の低下により、
生育が阻害されカリウムの欠乏症状が強くあらわれます。
カリウムは野菜のあらゆる部分に多く含まれますが、
とくに生長が盛んな部分、生理作用の活発な部分に移動し、集積されます。
そのためカリウム欠乏は古い組織の下葉からあらわれるのが一般的です。
カリ肥料の種類
カリ肥料として古くから使用されいるものは、草木灰です
草木灰の中のカリウムは炭酸塩として存在します。
一般に使用されているカリ肥料は、カリ鉱床から採掘され、
精製された塩化カリと硫酸カリがほとんどです。
日本のカリ肥料はロシア、カナダ、ドイツなどからの輸入に頼っています。
塩化カリはカリ含量が約60%であり、速効性の生理的酸性肥料です。
ニンジン、タマネギ、アスパラガス、キャベツなどの野菜は塩化カリが好まれます。
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硫酸カリの成分含量は約50%です。
硫酸カリは塩化カリよりも吸湿性が少なく、速効性の酸性肥料です。
イチゴ、ジャガイモ、レタスなどの野菜は硫酸カリが好まれます。
土壌中にはいろいろな形態のカリウムが存在します
非交換態カリは鉱物中に存在し、作物には直接吸収されません。
交換態カリは土壌中の年度や有機物コロイドに吸着し、
アンモニウムやカルシウムイオンと交換します。
土壌溶液中のカリウムは交換態カリウムと同じように、植物に容易に吸収されます。
土壌中の交換態カリは非交換態カリの1%弱と少なく、
土壌溶液中のカリは交換態カリのさらに1%程度しかありません。
堆肥や作物残渣に含まれるカリは土壌溶液中に放出されますが
交換態カリと平衡状態を形成します。
土壌溶液中のカリが野菜に吸収されると、これと平衡状態にある交換態カリが
土壌溶液中に放出され新たな平衡状態が形成されます。
しかし野菜のカリ吸収速度が速すぎると、カリ補給が間に合わなくなり
野菜はカリ欠乏の症状をしめします。
それを補うためにカリ肥料が必要となります。
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