ほうれんそうの原産地はコーカサスからイランにかけての西アジアで、江戸時代初期に渡来し、唐菜、赤根菜と呼ばれて各地に広まりました。
ホウレンソウの根の部分の赤みが強い東洋種、葉の切れ込みが少ない西洋種があります。
ホウレンソウは栄養価が高く、特にカロチン、ビタミンC、鉄を豊富に含んでいるので緑黄色野菜の代表的存在です。
ホウレンソウの根の赤い部分には、骨の形成にかかわるマンガンが多く含んでいるので捨てないで下さい。
最近はホウレンソウの東洋種と西洋種の一代雑種がつくられて一年中栽培されるようになり、調理の用途が広がりましたが、ホウレンソウの旬である秋冬どり栽培は、1年でもっとも作りやすい作型です。
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ほうれん草の種まきと生育適温
ほうれん草は、非常に寒さに強い性質を持つ野菜です。
日本の辛い冬も乗り越えられる野菜ですが、その寒さへの強さは、シベリアの寒地でも、栽培、収穫ができるほどだと言われます。
ほうれん草の生育適温は、10℃-20℃程度です。0℃以下、氷点下を回ると、生育がストップします。
しかし、-10℃くらいの気候であれば、生長は止まるものの、寒害は受けません。
ほうれん草を、日本の家庭菜園で育てる場合は、秋まきが適します。
大体、9月-10月頃に種をまき、秋から冬にかけて収穫を行います。
低温期は、じっくりと、時間を掛けて育つので、ほうれん草の持つ、ビタミンCなどの栄養素の高い状態で収穫ができます。
また、味自体も、非常に甘く、美味しいほうれん草が出来上がります。
では、何故、ほうれん草は寒さに晒すと甘くなるのでしょうか?
これは、寒さにさらされたほうれん草が、ほうれん草体内にある、水分量を自ら減らし、寒害、凍害が起きないように体内の糖度を高め、寒さから自分の体を守る、防御機能が備わっているからです。
この理屈は、車の不凍液と同じです。濃度を高めることにより、凍らないようにすることができるのです。
このようにして育てられた、甘みのあるほうれん草のことを、「寒締めほうれん草」とも呼びます。糖度だけではなく、ビタミンCなどの栄養素も高くなるので、家庭菜園向きです。
この時期のほうれん草は、株が葉が広がり平坦になります。
これも、ほうれん草の防御機能の1つで、葉を地面に付けることで、冷たい風から守っているんです。
ほうれん草の土つくり、畑の準備
ホウレンソウは酸性の土では生育がわるくなるので苦土石灰と堆肥をやや多めに畑に入れます。
スコップなどで深く耕した後、元肥をまいてうなを立てます。
土つくりの資材
苦土石灰 1平方メートル当たり100g
堆肥 1平方メートル当たり2-3kg
元肥
化成肥料 N:P:K=8:8:8のものであれば1平方メートル当たり 80-100g
注意するポイント
前の作でホウレンソウの育ちがわるかったところには苦土石灰の入れる量を少し増やします。
水はけの悪いところではうなを高めに作りましょう。
ほうれん草のとうだちについて
ほうれん草は、日の長さが、12-16時間以上になると、育て始めてから、約15日ほどで、花芽が形成されます。
その後は、花茎が伸びて花が咲きます。
これを、「とう立ちする」「抽だい」と言います。
日の長さの短い冬は、花芽ができても、とう立ちまでの過程は、とてもゆっくりと生長します。
3月-5月の春まきほうれん草の場合、気温の上昇から、ほうれん草は、ぐんぐん生長しますが、日も長くなるために、とう立ちも起こりやすくなってしまいます。
5月-7月の夏まきの場合は更に、ほうれん草が不得意とする、夏の期間に入るため、とう立ちが早く進んでしまいます。
この時期は、ほうれん草を育てにくい季節となりますので、家庭菜園では、寒い時期に行いたいところです。
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しかし、春や夏でも育てやすくする方法もあります。
それが、晩抽性品種です。晩抽性品種と言うのは、とう立ちしにくい、とう立ちが遅れるように改良された品種のことで、これを使えば、春や夏でもほうれん草を育てることができます。
また、ほうれん草は、光にも弱い性質があります。
日光の光と、街頭や、玄関先の電気を一緒に感知してしまうので、冬場でも、明るい場所での栽培は避けてください。
ほうれん草は、開花前の若い株を収穫する野菜ですので、開花を見ることは少ないと言えますが、雄株と雌株があり、黄緑色の花を咲かせます。
雄株は、雌花が茎の先につき、、雌株では、雌花が、花茎から出た葉の付け根につきます。
ほうれん草の収穫の時期とタイミング
ほうれん草の収穫の適期は、草丈22-25センチ頃です。
しかし、葉の部分を食べるほうれん草の場合、ここまで育つ過程で、順次収穫することができます。
収穫スタートの目安は、大体、草丈が20センチ以上になった頃からです。
また、栽培途中、間引いた葉も、食べることができます。
ほうれん草は、温暖地の場合、11月まで露地栽培が可能です。
9月に種まきをした場合は、大体40日-60日程度で収穫、
10月に種まきをした場合は、大体60日-90日程度で収穫、
11月に種まきをした場合は、大体90日-120日程度で収穫できます。
尚、3月にほうれん草を育て始める場合は、50日-60日程度で収穫、4月に種まきをした場合は、約30日、5月は、25日というように、暖かくなるにつれ、徐々に収穫までの日数が短くなります。
株の重さの目安は、時期によって異なりますが、秋の収穫は1本20グラムほど、冬の収穫は1本30グラムほどが理想です。
ほうれん草の育て方まとめ
甘みのある、美味しいほうれん草を栽培、収穫するためにも、栽培のポイントに注意しながら、栽培してみてください。
春まきの場合、秋まきの場合で、ほうれん草の品種を変える
ほうれん草を育てやすいのは、秋まきです。
ほうれん草の品種も、さまざまなものがありますが、多くの品種から、選ぶことができます。
ただし、秋まきの時期は、気温が少し下がった頃に、べと病が、起こる可能性があるので、注意してください。
べと病に抵抗する品種も販売されているので、そういった品種の種を、入手すると良いかも知れませんね。
また、冬の時期にほうれん草を楽しみたいのであれば、防寒性の品種が良いでしょう。
ほうれん草は、少し育てにくくなりますが、春まきも可能です。
春まきの場合は、とう立ちしにくい、晩抽性品種を入手してください。
秋まきには利用しにくい品種となるので、そこもまた、注意が必要です。
ほうれん草は、酸性土壌をとても嫌う野菜
ほうれん草は、酸性土壌にとても弱い性質があるので、土壌酸度には、充分気を付けて育て始める必要があります。
ちなみに、土壌酸度の強い土地で育て始めると、本葉2枚?3枚の頃に、ほうれん草の生育が止まってしまいます。
原因は、土壌中の酸化アルミニウム(アルミナ)が溶けて、根の生育を粗大することにあると言われています。
ほうれん草の生育に適した土壌酸度は、pH6.3-7.0くらいです。
日本の家庭菜園は、酸性土壌であることが多いですから、苦土石灰や堆肥を使用して、土壌改善を行ってください。
この土壌酸度は、リトマス試験紙や、土壌酸度測定器という、便利な機械にて、自宅で測ることもできます。
また、雑草からも見分けることができます。
スギナ、オオバコ、ヨモギが自生しているところは、酸性土壌、ホトケノザ、オオイヌノフグリが自生しているところは、中性土壌に近いです。
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